No307『株式会社富士メガネ(北海道札幌市)』第14回受賞企業ホームページから

今週は「第14回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」受賞企業のホームページを拝見して印象に残った企業を紹介します。
 https://www.fujimegane.co.jp/

株式会社富士メガネ(北海道札幌市)さんは第14回から創設された内閣総理大臣賞を最初に受賞された企業になりました。
また「第3回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」では経済産業大臣賞を受賞されています。
主な事業は眼鏡の販売・修理です。その歩みや活動は事業を通した社会貢献活動であり人財育成業といえると思います。

●概要
創業 1939年(昭和14年)10月
資本金 30,000,000円
代表者 代表取締役会長・社長兼任 金井 昭雄
従業員数 560名(男316名、女244名)2021年10月1日現在
事業内容 眼鏡、サングラス、補聴器、弱視眼鏡、光学機器の販売ならびに加工・修理
店舗 北海道に59店舗、関東に6店舗

●富士メガネの歩み
【1,創業の地・樺太】では5つにまとめられた同社の歴史がまとめられています。
「富士眼鏡商会、誕生」「開拓者の夢の都・樺太の豊原市」「波乱への船出」「戦況の悪化、そして召集」「奇跡的な再会」

現代では戦前戦後の具体的な実話に触れる機会はとても少なくなっていますが、富士メガネさんの創業の頃のこのような事実を知ることは大きな意義があると思います。
創業者は現代表のお父様である金井武雄氏です。樺太にメガネ店を開業しましたが、戦争の大混乱のため店を手放して北海道へ引き揚げます。
終戦直前に手放さざるを得なかったお店を売った代金の小切手、奥様の判断で終戦直後に北海道へ引き上げたこと、次の引揚船は機雷に触れて沈没した事実など生々しい情景が浮かびます。
そして2代目の昭雄氏は樺太に生まれ2歳で終戦を迎えています。

●松下幸之助氏への手紙
創業者の金井武雄氏は“新聞や雑誌などで合わないメガネを掛けている人を見ると、記事を切り抜いて、修理をすすめる手紙を出したり、社員に直して差し上げるよう指示していた”と言います。
昭和39年、テレビ中継に映った松下幸之助氏のずり落ちたメガネを見て手紙を出しています。翌年講演で北海道を訪れた際に“メガネを直させてほしい”と面会を求められた松下幸之助氏は店舗を訪れています。
松下幸之助氏はのちの著書に“世界一のメガネ屋さん”と記しています。

●社会貢献活動
富士メガネさんは海外難民や国内避難民の方々への視力支援活動をはじめとする国際人道支援のほか、国内外での教育支援、文化・スポーツの振興などさまざまな活動を行っています。
・海外難民視力支援ミッションでは1983年以降181,545組の新しいメガネを寄贈
UNHCR職員やNGOスタッフ、通訳の力を借りながらメガネを一人ひとりに手渡します。また日本においても取引先の幅広い協力があります。メガネの製作、度数ごとの仕分けや梱包、発送などに関わる社員ボランティアも欠かせません。このミッションは多くの人が心を合わせることで成り立っています。海外訪問した社員数延べ201名に上ります。
・中国残留日本人孤児への眼鏡寄贈
ある中国残留日本人孤児からの言葉です。“祖国は我々を見捨てなかった、メガネは日本でもらったおみやげの中で一番嬉しかった”

●主な受賞歴
国内のみならず海外の受賞もあり、質・量ともに多くの素晴らしい受賞歴があります。
1997年以降23もの受賞があります。一つ一つに説明や写真が掲載されています。

●最後に
どんな企業も社会に存在している以上、社会の中で生かされる存在です。自らがどのように社会とかかわるのか、その目指すべき方向を示すことは経営者の大切な仕事です。富士メガネさんはすべての企業の見本となることでしょう。

***補足***
この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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