点字・点字楽譜を讃えるコンサートと白杖を持った青年への声がけ~全盲の方からいただいたエネルギーのバトン~

2024年2月18日、NPO法人六星(ウイズ)が主催した「点字・点字楽譜を讃えるコンサート」に行き、初めて、全盲の和波たかよし氏(ヴァイオリン)と澤村祐司氏(箏)の演奏を聴きました。

彼らは、点字楽譜を手で触りながら暗譜し、何回も練習を重ねて、頭と身体で覚えていくのだそうです。何曲も演奏されましたが、いずれも身体全体から溢れてくる豊かな表現力で聴衆を惹きこんでいきます。演奏し終わった時、満面の笑みで堂々と舞台に立たれたお姿は、私の心に深く刻み込まれました。私自身の人生において、こんな素敵な笑顔を見たのは初めてのような気がします。お二人に心から敬意を払いたいと思います。

浜松駅までの帰り道、赤信号に変わった横断歩道の真中で、白杖を持った青年が立ち往生している場に出会いました。「今、信号は赤よ!」「駅に行くの?」など、近くの方が声をかけていましたが、彼は駅とは別の方向を向いたまま固まっている様子です。

私は、すぐに彼のもとに近づき、「駅まで行かれるのですか? 私も駅まで行きますので、よかったら、私の腕や肩をつかんでください」と声がけをしたところ、彼は「ありがとうございます」と言って、私の腕をつかんできました。

駅まで10~15分ほどの道のり、彼の白杖が常に歩道の点字ブロックを捉えられるように意識しながら、歩道の傾斜、交差点、カーブなどの声掛けをしながら進みました。それ以外は、「駅からは電車に乗られるのですか? どこまで帰られるのですか? それなら駅の改札口までは案内しますね」という会話をしたぐらいです。彼は、自分が乗る電車が何番線から発車するのか確認をしたいということでしたので、駅の改札口で職員の方にバトンを繋ぎ、お別れしました。

実は、白杖を持った方に声をかけたのは初めてです。でも、体が自然に動いていました。1年前までの私なら、このような行動をとることはできなかったことでしょう。人財塾で坂本光司先生から教わった「困っている人がいたら傍観者であってはいけない」というマインド、そして、90分間全く何も見えない世界で白杖を持って過ごした「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の貴重な体験があったからできたのだと思っています。全盲のガイドさんから名前を呼ばれて声をかけてもらえた時の嬉しさや、人につかまった時の安心感、どうされることで不安が小さくなるのかを実感することができました。

浜松での初めて白杖を持った方との体験、自分の名前を名乗って声掛けをしていれば、もっと安心してもらえたのではないだろうかなど、心残りもあります。

 全盲の演奏者のお二人からいただいた素晴らしいエネルギーが、白杖をもった青年への声掛けの勇気につながったと思います。人財塾での学びがきっかけとなり、忘れられない一日となりました。感謝!

※ダイアログ・イン・ザ・ダーク:https://did.dialogue.or.jp/

2月14日に、人財塾同期の伊藤真理子さんもダイアログ・イン・ザ・ダークについて取り上げています。こちらも是非お読みください。

経営人財塾6期 有限会社CSマネジメント・オフィス 鴨志田 栄子

点字・点字楽譜を讃えるコンサート

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