NHK大河「光る君へ」を仕事に活かす 雨夜の品定め(源氏物語)

五月の長雨のある日、17歳の源氏の君は燈火近くで、書物など御覧になっています。

すると、頭中将がやたらと手紙を見たがるので、源氏は「さしつかえないのは見せましょう。みっともないものもあるでしょうよ」と、お許しになったので、中将は「その見られるとまずいお手紙を見たいのです。お互いに相手を恨めしく思うとか、人待ち顔の夕暮れに書いた恋文を見たいのです」と言い、ちょっとずつ見て、「様々な手紙がございますね」といって、当て推量に、「あの女ですか」「その女ですか」など問う中に、言い当てるのもあり、外れた妄想もあり面白いと思われたが、何かと言い紛らせてお隠しになりました。

(中将)「女で、この人がすばらしいと、言えるのは滅多にないとわかってきました。うわべばかりの風情でその時々の答えを心得ているのは悪くないですが、完ぺきとはいきません。

自分ができることだけを得意に自慢し、できない他人を悪く言うのは聞いていられない。

親のしっかりした教育により優れた美点を伝え聞くと、男としては気になるでしょう。

容貌が美しく、大らかで、若々しく、他に気を取られることもない時には、ちょっとした遊芸でも人真似に精進することもあるので、それなりに完成させることもあります。

されど、その女の世話役が良い面だけを美化して伝えるのに、では本当に素晴らしい完璧な女かと見てみると、実際は残念なことばかりです」と、つくづく言う様子も貫禄十分なので、      (源氏の君は)全部がそうではないにしても、同意なさるところがあるのか、ほほ笑まれて、

(源氏)「そのように、少しも良い所のない女ばかりがいるのですか」とおっしゃると、     (中将)「まったくそれほどひどい女には、誰が騙されて寄り付きましょう。残念な女と、素晴らしい女とは、同じ数くらいございましょう。上流貴族の女なら、人に大切にされて、欠点が隠れていることが多く、おのずからその感じは良いものに見えるでしょう。ただ、わがままで気位の高いのが面倒です。むしろ中流の女こそ、性格が良く、個性も見えて、私が知らない世界も知っていて一緒にいるのが楽しいです。控えめで遠慮あり相手を思う気持ちが優しく、付き合うには中流貴族の女が最適です。下流の女は品格なく話になりません」といって、たいそう隅々まで知り尽くしている様子なのも、心惹かれて、

(源氏)「その身分の品格というのはどういうものだろう。もとは上流貴族に生まれながら、落ちぶれた者や、一方で、平凡な家柄に生まれながら上流貴族になり上がる者がいる。その区切りをどう分けるべきか」と質問したときに、外出していた二人が会話に加わりました。           左馬頭は、女は嫉妬深く浮気者なので、妻として完全な女は存在しないと断言しました。      藤式部丞は、博士の娘など賢女はうるさく頭が上がらないので、逃げ帰ったといいます。                   実話を交えた話に盛り上がり、どこに真実の心の女がいるのかの議論は尽きませんでした。   (人を大切にする経営学会:根本幸治)

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