○年ぶりの社長交代

株式会社帝国データバンクが、毎年、全国「社長年齢」分析調査を発表している。

その2023年調査結果を見ると、2023年時点の社長の平均年齢は60.5歳で、

前年調査から0.1歳上回り、33年連続の上昇で過去最高を更新している。

ちなみに、33年前の1990年の調査結果が54.0歳だったので、

そこから6.5歳上昇したことになる。

これを年齢別にみると、

「50 歳以上」が 81.0%と全体の 8 割以上を占める結果となった。

さらに、50歳以上を詳細に見ていくと、

50代29.2%、60代26.6%、70代19.9%、そして80代以上5.3%となっている。

ちなみに、30歳未満は0.2%、30代は2.9%だった。

社長の平均年齢が伸びているので、当たり前の話にはなるが、

社長が交代する際の年齢も平均で 68.7 歳と高齢になっており、

70 歳目前にしての事業承継が行われるケースも多くなっていることもわかる。

そんな中で、ここ数年でいくつかの興味深い社長交代があった。

それは、第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で

経済産業大臣賞を受賞した未来工業株式会社。

株式会社エディオン。トヨタ自動車株式会社。江崎グリコ株式会社などだ。

何が興味深かったのかと言えば、

未来工業の社長交代は11年ぶり。エディオンの社長交代は実に21年ぶり。

トヨタ自動車は14年ぶり。江崎グリコは40年振りに社長交代と、

いずれも、その在任期間が10年超を経過しているいうことだ。

もちろん、これ以外にも10年以上在任していた

トップが交代している企業例は数多くある。

そして、もう1つ興味深いのは、

いずれの企業とも、その幅はあるものの、社長の若返りが図られていることだ。

その交代理由をみると、

未来工業は「事業環境の変化に対応するため」。

エディオンは「グループを取り巻く環境の変化に対応し、

経営体制の一層の強化を図るため」としている。

一概に、在任期間が長いから、社長が高齢だから悪いというわけではない。

企業の永続を考えれば、

ある程度の長期スタンスと長期ビジョンを持って

物事に取り掛かることは必要である。

また難局を乗り越えるためには、

ある程度の経験値が必要になることもあることは間違いない。

その一方、在任期間が長くなることで、

権力基盤を固めるべく、自身の保身のための活動をすることで組織が硬直化する。

また、これまでの成功体験に固執し、

意思決定が硬直化するなどの弊害が出ることは否定できない。

ただ、今後、時代の変化は想定できないほど速くなっていくことを踏まえ、

経営のスピードを一層速め、

時代の変化に対処していくための社長交代が、 少なくとも、

備えあれば憂いなしとなることは確かなことではないだろうか。

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